(講談社)★★★★★
中山七里さんの最新作「贖罪の奏鳴曲」を読みました。
以前にこのブログで「さよならドビュッシー」について書きましたが、
今度「さよならドビュッシー」が映画化されるそうです。人気がでてきたのですね。
「贖罪の奏鳴曲」でもピアノ演奏が見事な描写で、音楽表現が畳みかけるように書かれています。今回はベートーヴェンピアノソナタ「熱情」。
文章の表現力も、内容もより素晴らしくなっていて、中山さんの作品では一番だと思います。
主人公は過去に殺人を犯した弁護士。ただのミステリーではなく、贖罪がテーマになっていて、
医療少年院の稲見教官の言葉が、中山さんのメッセージだと思います。
「悔いたところで過去は修復できない。自分以外の弱い者のために闘え。
奈落から手を伸ばしている者を救い上げろ。
それを繰り返してやっとお前は罪を償ったことになるんだ。」
他にも法廷シーンやラストのどんでん返しなど、読み応え十分で楽しめます。