(文芸春秋)★★★★★
中学校の図書室で仕事をしている友人が、
「羊と鋼の森」がとてもいいと言ったので、
図書館にリクエストして、やっと私の順番が回ってきたところ、
「羊と鋼の森」が今年の本屋大賞に選ばれ、びっくり。
早速読んでみたら、調律師さんのピアノに対する奥深い思いに
とても感動しました。
この小説は、ピアノの調律に魅せられた一人の青年が、
調律師として、人として成長する姿を
綴った作品です。
タイトルの羊はハンマーのフェルト、鋼は弦、
ピアノという森、人生という森に入りこんでいくという意味。
グランドピアノはその構造がとてもよくわかり、
幼稚園児や小学生の生徒さんは、よく覗いています。
このハンマーが弦を打って音が鳴るんだよと説明すると、
とても興味しんしん。
この本がヒットすると、もっとピアノの構造がメジャーになりますね。
この小説の中には、名文がたくさん出てきますが、
いくつか書いてみます。
「天の川で、カササギが橋になってくれるっていう話がありますね。
ピアノとピアニストをつなぐカササギを、一羽ずつ方々から集めてくるのが
僕たちの仕事なのかなと思います。」
「音楽は人生を楽しむためのものだ。決して誰かと競うようなものじゃない。
競ったとしても、勝負はあらかじめ決まっている。楽しんだものの勝ちだ。」
「ピアノのタッチとは、鍵盤を指で叩くと、連動してハンマーが弦を打つ、
その感触のことなんだよね。ピアニストは鍵盤を鳴らすんじゃない。
弦を鳴らすんだ。自分の指先がハンマーにつながっていて、
それが弦を鳴らすのを直に感じながら弾くことができる。」