古屋晋一「ピアニストの脳を科学する」

(春秋社)★★★★★

古屋さんは大阪大学の基礎工学部を卒業後、医学博士を取得し、

ハノーファー音楽演劇大学で音楽生理学・音楽家医学研究所研究員をされています。

ピアニストの脳に着目し、ピアニストの様々な弾き方で、

脳や筋肉の活動がどう変化するか、

科学的に裏付けられた理論が、この本の中で展開されています。

・ピアニストの脳はたくさん働かなくても、複雑な指の動きができるように洗練されている。

・ピアニストの手指を動かす神経細胞は、長年の練習により複雑な指の動きを生み出しやすいように

 特殊な変化をとげている。

・脳の神経細胞同士が情報のやりとりをするために必要なケーブルを包む鞘があり、

 11歳までにおこなう練習はすればするほど鞘を発達させる。

・音楽家は音を聴いた時に働く聴覚野の神経細胞の数が多く、働きが優れているので、

 音のさまざまな特徴を正確に処理したり、音のさまざまな表情を聴き分けたりすることができる。

・音感は9歳までにほとんど決まる。脳の柔らかい時期にたくさん良い音楽を聴いたり、

 音楽の教育を受けることが、その後の人生で音楽を深く楽しむための一生の財産となる。

・音楽のレッスンを長期間受けることで、IQが向上する。

・音楽家は左の海馬(記憶をつかさどる場所)の前方部分の大きさが大きく、

 より多くの情報を蓄えることが可能である。

などピアノを弾くことにより、脳が変化することが想像以上に多くびっくり。

またそれらのことが脳科学で全て解明されているということにもびっくり。

興味のある方は是非読んでみて下さい。

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