二宮敦人「最後の秘境 東京藝大」

(新潮社)★★★★

二宮さんの奥様は彫刻専攻の現役藝大生。

さまざまな学科の藝大生へのインタビューが載っていて、実態がよくわかります。

二宮さんは一橋大卒の小説家のため、一般の人から目線で

藝大生を語っているのが、親しみやすくとても面白かったです。

音楽学部の学生さん達は私の通っていた音大と似た感じでしたが、

美術学部の学生さん達は私の想像をはるかに超えた奇人ばかり。

でもその芸術に捧げるパワーはすさまじく、

しかも芸術に対する自由で個性的な発想は皆とても魅力的で、

興味深い人達ばかりなのが、よくわかりました。

またピアノ専攻の三重野さんの言葉に、思わずそうそうと頷いてしまいました。

「同じドでも柔らかいド、情熱的なドなど、上手い人ほど全然違う音を使い分けられるんです。

 打鍵の技術や速度、タッチ、ペダルの踏み方、そういったことで全く音が変わるんですね。

 体格や性格も影響します。自分の個性も活かしつつ、音の幅を広げることで、

 伝えたいものを演奏で伝えられるようになる。そのために練習するんです。」

 

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