(集英社)★★★★★
前アメリカ大統領のファーストレディ、ミシェル・オバマさんの自伝です。
スラム街生まれの黒人の少女がプリンストン大学とハーバード大学法科大学院を卒業後、
弁護士・シカゴ市長執務室・シカゴ大学副学部長・シカゴ大学病院勤務を経て、
ファーストレディになります。
読み終えて感じたのは、想像以上にアメリカにおける人種差別は今でも根強く、
ミシェルはずっと黒人として負けられないという気持ちと
このような人種差別をなくしたいという気持ちを持ち続けて、
努力してきたことがよくわかります。
その中で私が注目したのは、ミシェルがピアノを習った時の話です。
「私がピアノを習おうと思い立ったのは4歳のときだった。叔母のロビーがピアノ教師だったため、
ロビーにピアノを習った。弾いてみるとピアノは楽しかった。
練習すればするほどうまくなるというシンプルで心強い相関関係を知った。
しかししばらくするとテキストの後半の難しい曲を弾きたくなり、
勝手に後ろの曲を弾くようになり、ロビーと言い合いになった。
年に一度発表会があった。自分の演奏曲は頭で考える必要もないほど知り尽くしていて、
あとは手を動かすだけだった。しかし鍵盤の欠けたアップライトピアノでしか練習していなかった
私の前には完璧なグランドピアノがあり、私はどこに指を置けばいいのかわからなくなった。
喉が締め付けられて心臓が高鳴りあせっている私に、ロビーは指を中央のドに置き、
堂々と顔を上げ心を解き放って音楽を奏でるよう教えてくれた。」
このように他の部分もとても引き込まれる文章で書かれていて、
ミシェルがとても聡明で、負けず嫌いで、努力家で、しかも愛にあふれているとわかる本です。
是非若い人達に読んでもらいたいです。